Paul Auster "Moon Palace" -11

「ムーン・パレス」第2章。突然のどしゃ降りで心身ともにずぶ濡れになったマーコ。変わり果てた自分の顔に激しいショックを受けながらも,とにかく濡れた服を乾かそうと図書館へ。しかしそこで恐ろしい事実に気づく。そう。着続けた服は,一見汚さを感じさせなくとも,一旦雨に濡れ再度乾くときにはとんでもない悪臭を放つのだ。
…my clothes grew progressively(だんだん) drier, the smell became uglier and more over powering.…invading my nostrils(鼻腔) like a cloud of poisn gas.
想像もつかない悪臭。。子供らがペットボトルにジョロウグモと水を入れてシェイクした際,発生したという伝説の悪臭をふと思い出す(実際,嗅いでないけど)。
図書館にもいられなくなり,仕方なく外に出る。熱はどんどん上がるし喉もひどく痛む。サンドイッチを食べながら,とにかく休めるところを探そうと這うように歩いていると,さっきまで止んでいた雨が再び降り出す。と,突然ものすごい吐き気を催し,朝から食べたものをみな吐いてしまう。吐いたげろを見つめながら,自らの「孤独」を苦々しく噛み締める。
なんとか休めそうな岩陰を見つけると,もう崩れるように横になり,後はひたすら寝続ける。だが,それは決して安息の眠りなどではない。
I was so bound up in the tribulations(辛苦) of my body that I lost all sense of where I was. I remember long bouts(発作) of vomiting(吐しゃ), frenzied(取り乱した) moments when my body wouldn't stop shaking, periods when the only sound I heard was the chattering of my teeth.
しかし,開けない夜明けはない。ようやっと岩陰から出てきたとき,外はすっかり晴れて,まさに "Indian summer=小春日和"。何度も何度も "Indean summer" という言葉を繰り返しながら,草っぱらに寝転び命の回復を堪能する。350年前,インディアンたちとともにマンハッタンの森を駆け廻っている自分の姿を夢見ながら。
…そして,ついに親友ジンマーとキティに発見される,というところで,以下第3章へ。良かったね,マーコ。