Paul Auster "Timbuktu" 120~132p -12

WillyがMr.Bonesの夢から消え去る前にもう一言。自分の母も犬のように故郷を追われ,生きるために走り続けなくてはならなかった。人間も犬のように扱われることもある(Willyの母親はユダヤ人なのだ)。
Before you start feeling too sorry for yourself, just remember that you're not the first dog who's ever been lost.
この言葉で,Mr.Bonesがこの数日間抱き続けていた恐れはようやく消え去る。さらに,さっきまでTimbuktsuにいるWillyと話していたということは,自分もその時Timbuktstに足を踏み入れていたのではないか。一度入ることができたのなら,死んだ後も必ずそこに入っていけるのではないかと考察する。人は死後Timbuktsuに行けても,ペットの自分はどうかということが不安の種だったが,それもなんとか解消したようだ。よかった!
それからしばらくして,今度は芝生の敷き詰められたこぎれいな庭で遊ぶ姉弟と母親のいる家に迷い込む。弟はやんちゃだが,姉のAliceは年に似合わぬ聡明な子供で,
…he realized that Willy G.Christmas was not the only two-legs in the world who could be trusted. It turned out that there were others, and some of them were very small.
と,Willy以外にも信頼に足る人間がこの世に存在するということを実感する。3人はMr.Bonesを家で飼いたいと考えるが,まだ父親の許可が得られていない。果たしてこの家は,Mr.Bonesの安住の地となるのか?というところで今日はおしまい。…も少し読み進めた(138p)。パイロットをしている父Dickが帰宅。Mr.Bonesの運命が申し渡されたところまで。