トラウマ料理の克服

夕食でサトイモイカの煮物を作った。どってことないいわゆる「おふくろの味」的メニューなのだろうが、実家・・・うちの母はどうも「料理が下手な人」だったらしく、中でもイカを使った料理は私にとってトラウマとなっていた。そう、イカは刺身を除くと、長らく自分じゃ「使えない食材」だった。。
家の料理が美味しくないというのは、毎日毎日のことだけになかなか気づかないものだ。とりわけ子どもにとっては・・・。母が作ってくれているものを否定するなんて、人道に反するとも思う。しかし、母が亡くなって既に10年近く。この夏、大阪で妹と会って、「実は家のご飯が辛かった」とお互いに告白し、もう言っちゃってもいいよねと笑いあって、なんだか肩の荷が下りた・・・自分がじくじく背負ってきたものをいっしょに笑い合える相手がいてよかったとしみじみ思ったのだった。
その際、妹となぜ母の料理は美味しくなかったのか検討した。要因はさまざまで複雑だが、要は以下の三点が問題だったのだろうと・・・

  • 材料のバランス・・・ 自分がイカが好きとなると、インスタントラーメンやらお好み焼きやら何にでもイカゲソを入れてしまう。イカの煮物ともなると圧倒的にイカ割合が多くなる。何かこれが良いと思いつくと、そればかりが毎日食材として続く。イカゲソとかラムとか。
  • 味付け・・・ ルーツが岐阜方面のためか、やたら塩っ辛い。総じて過剰なしょうゆ、味噌、塩。味噌汁なども、もともと赤だしの上に味噌多めだから恐ろしく辛かった;;
  • ・・・ 野菜など、その日買った食材はすべて使ってしまうから、どうしても作る量が多くなる。

その他、どうも基本的な性格がちょっとズレていたのではないかと思う。

  • 換気扇の掃除が面倒→油汚れ防止グッズを一生懸命貼る→汚れたらまたその上にグッズを貼る→換気扇周辺は汚れ防止グッズが地層のように・・・

→→→換気扇を直に洗った方が楽じゃないか?

  • カレーの煮込み時間が惜しい→野菜をすべてみじん切りにしようと思いつき、専用器具まで購入→煮込み不足でシャバシャバ、モロモロ食感の微妙なカレーに・・・

→→→毎回みじん切りする手間や器具の手入れを考えたら、大きく切ってシャトルシェフか圧力鍋で煮込んだ方が手間がかからず美味いんじゃないか?
・・という具合。面白くて愛すべき母ではあったが、そんなこんなで、彼女の料理の中でもイカの煮物系は完全にトラウマと化したのだった。今回もヨシケイさんが食材を持ってきてくれるからこそ、作ってみようと思えるようになったのだ。自分の過去を思い出し、びくびくしながら家族に出したのだけれども、子どもまでちゃんと食べてくれて嬉しかったです。
レシピ通りに作ってみて、どうも母はイカを必要以上に煮込みすぎたので、イカが硬くなり煮物全体がイカエキスまったりになってしまったたのかなぁと思った。イカはサッと煮るだけでいいとか、生姜と一緒に煮るとイカ臭さが緩和されるとか、母に教えてあげたかったな。