まんが医学の歴史

まんが医学の歴史

まんが医学の歴史

読了。マンガのせいか、今まで読んできた医学系の歴史本より登場人物がグッと人間臭く描かれていて、総花的で字だらけの本なのに楽しく読めてしまった。
16世紀の仏で、無学の理髪外科医から医師の頂点に立った優しいパレ。17世紀の英でニュートンにことごとく厳しく当たったフックが地方学者のレーウェンフックには優しかったとか、コッホとパスツールのデッドヒートなど、一回読んだら忘れられないエピソードが盛りだくさんだ。
何らかの知見を得たとされる人物だけでなく、その礎となる研究を積み重ねてきた人々や、形にならなかったもののその研究に先立つ「何か」を発見していたような人にもちゃんとスポットを当てていて、深みを感じる。
メダワーの免疫寛容の項で、「な〜んでかしらんがウシのオス・メスの二卵性双胎ではメスが不妊になりよる」と語る18世紀のジョン・ハンターとか、DNAの構造解析で名を馳せたワトソンとクリックの陰で、37歳で亡くなったダークレディ、ロザリンド・フランクリンとか。いっぱいいっぱい。
イメージが刷り込まれてしまう恐れはあるかもしれないが、それ以上に歴史上の人物が人間らしく感じられ、印象に残っていく功績のほうが大きいだろう。マンガってすごいなーと実感させられる本だ。