Paul Auster "Timbuktu" 33~46p -4

WillyがMr.Bonesに対する思い入れを語るシーンから。
It wasn't just that he knew that Mr. Bones had a soul. He knew that soul to be better than other souls, and the more he saw of it, the more refinement and nobility of spirit he find there.
Mr.Bonesは犬ではあるが,その精神はそんじょそこらの人間のモノよりも遙かに気高く崇高だと語るWilly。
Was Mr. Bones, in fact, the second coming of the force that had delivered Santa Claus to him…
Mr.Bonesとの出会いは,23年前(16の時)のサンタとの邂逅に匹敵するのではないかと自問する。さらに”DOG”の綴りを並び替えると”GOD”になり,
The truth, that's what.
そこに真理があると言う。サンタとの出会った時にも,”SANTA”の綴りを”SATAN”と並び替え,サンタに向かって「だからお前は悪魔だ」と罵っていた。こういった「綴りの並び替え」によってその真理を見出そうとする手法って,確かハリポタでも見かけたな…(遠い目)。「名前」の意義に重きを置くのは西洋文化の一端だろうか。「ゲド戦記」なんかでも,「真の名前」を知ることがそのものを支配すること,強いては魔法を使えることに繋がっていたような…(ったく,いい加減なことばかり(汗))。
突如場面は現在に戻り,頼みの綱のBea Swanson捜しのシーン。雨はだんだん激しくなってくる。Willyの命は風前の灯火,Swansonと出会える見込みは全くない。その時偶然,Edgar Allan Poeが住んでいたというNorth Army Street 203番地に辿り着く。Poeはアメリカ人作家すべてにとって,偉大な祖先であり,父であると言うWilly。Swansonと会えない以上,Willyが作家として認められる可能性はゼロ。作家として認められる最後の可能性の扉にさえ辿り着けないまま,Poeの家の側で力尽きていく「主人」の姿を見守る「犬」。ああ,やるせないなぁと思いつつ第2章へ突入。