秋のアイス

ウィスキーがけにしたいところだけど,日中なのでガマンガマン。
小鉢は黄瀬戸。瀬戸本業窯の水野聡一郎さんのもの。かなーり染みやすい器なので,当初は大事に大事に(私にしては)扱っていたが,購入後5年を経るとさすがにそう染みなくなってきた。黄瀬戸というと「和!!」のイメージが強く,盛るものを選びそうだが,水野さんの作品はとってもモダン。扱いは難しいが,大好きな器だ。
下敷の楕円皿は,千葉の鈴木重孝さんのもの。瀬戸の人間国宝塚本快示氏の元で磁器を学んだそうな。この器を購入した頃は土モノばかりを作っていたが,今は磁器モノ中心になったらしい。もうこれと同じ皿は手に入らない。割れたら相当ショックだろうなー。青と黄,緑がやんわり混じってて,周囲を茶がはんなり引き締めている。裏にはコロンとした丸い足が四つ。一見優しげな風情だが,実は相当端正な皿である。大きさが絶妙で,ハンバーグや焼き魚をポンと置いただけで,添え物なしにおさまる。しかも縁がすこーし高くなっているので汁もこぼれない。まさに考え尽くされた器。感服である。いずれも,金沢竪町の「波」で購入。「波」はこの手のちょいとモダンな民芸がお得意な店だった。
お盆は香川の象谷塗。金沢の名鉄丸越で購入。塗りではあるが,値段は手頃。多少のラフな扱いもOK。子供が小さくても安心して使える実用的な塗物。漆の上にマコモの粉を撒いているそうな。
脇に添えているのは大阪曾根崎の「ようび」で購入した備前漆のスプーン。アイスを食べる際の,金属スプーンのキーンとした冷たさが嫌で買ったのだが,高かった(泣)。店は実家から近く,帰省の度によく寄っていた。とはいえ,モノはいいがお値段もそれなり。しかも基本は5個セット売り(←これがキビシイ。作家モノなんてバラして売ってもらえんと買えないよ!)。なもんで,いつも見るだけで購入することは少なかった。小さなスペースに,そんな高級品がギッシリ置かれていて,間違っても子供なんか連れていけないお店。…日記のために何気にググってみたら,「ようび」が楽天にお店出しててビックリ(眼福モノ!)。ネットじゃバラ売りもOKになった様子。うう,時代は刻々と変わってきているのだな。
「ようび」楽天店 :http://www.rakuten.ne.jp/gold/yobi/
そこで唐突だが,作家モノをネットや通販で購入する際の注意点など。結構リスキーなので(笑)。まずは作家モノの場合,基本は手作りだから,どうしても作品に出来不出来が出てくるという認識が必要。どの程度のモノまで店に卸すかという判断は,ほぼ作家次第(この基準自体を判断するのが難しいのだ。作家の良心が問われる?)。次に作家がどの器をどの店に送るかという問題が発生する。そこに介在するのは,作家と店との信頼関係(あるいは店の度量の違い?)だろう。同じ作家のホントは「同じ品」であるべきものが,違う店でみると「ちょっと,ン〜?」ということがアルノヨ(当然値段は同じ)。結局,作家モノの出来不出来をどこまで「味わい」として受け入れるかは,作家,店,客それぞれの感性にかかっていて,その辺の感覚の違いが悲劇を生むというか何というか(笑)。だから,お店で見て触って買うのがベスト。しかし,すべてのお店を回るのは不可能だろうし,行った時にお目当ての品がないこともしばしば。文字通りの「通販」でなくとも,お店で注文あるいは予約をお願いして,作品ができ次第送ってもらうということもあるわけだ(人気作家の器なんかだと,1年待ちなんて場合も)。しかし楽しみに待って待って,ようやく来た器にガッカリなんてこともアルンダヨネ*1
長くなってしまったが,要するに通販で作家モノを買う場合,リスクはある程度覚悟しなければならないというのが前提。その上で少しでもリスクを削減するには,目の確かな(というか感性が自分に近い)店を選ぶべき。「ようび」の品に「ハズレ」は恐ろしいくらいなかった(少なくとも5年くらい前までは)。きっと店主の目が厳しいのと,それだけの厳しい注文を作家に要求できるだけの力があったからだろう。参考までに。

*1:もちろん,通販でお願いした品を「思っていたのと違う」と言って返品するのもアリだろうが,かな〜り勇気が必要(私はできません)。店で注文あるいは予約をした場合であれば,面倒でも送ってもらうのではなく直接店で確認してから買うことをオススメする。手渡されたモノが気に入らない場合,「他のも見せてください」と言えるので(1枚注文でも発注は通常5枚以上だから)。でも,他のを見せてもらっても,気に入るのがないってこともアル(作家の作風が突如変わったり,色仕上がりがたまたま全部濃くなったり)。結局,注文をキャンセルすることなんてできず,心中泣きながら買うこともアル。定番品や人気の品なら,店主が無理して買わなくてもイイよと言ってくれることもあるけど