Paul Auster "The Book of Illusions" 66~83p -5

のっけから2p以上に渡って,Chateaubriand *1の”Memoires d'outre-tombe”の英訳を読む羽目に。トホホ。Austerの文体に比べると読みにくいったら。
…Zimmerは引っ越し後,本の整理をしていていて数年ぶりに偶然この本を手に取る。その際ナニゲに読んだ一節なんだそうな。その三日後に,Alexからこの本の翻訳を依頼する手紙を受け取ったのだ。この奇妙な偶然にZimmerは運命的なものを感じ,翻訳を二つ返事で引き受ける。おそらくは,自分が本を手に取った頃,ちょうどAlexが自分への手紙を書いていたのではないかと。
その後,かつての同僚夫妻のパーティに招かれた際,やらかしてしまった致命的な失態の話が続く。妻と子供たちを失った喪失感から立ち直っていない状態で,かつての自分たちを知る人々の集まる半ば儀礼的なパーティ(それも大人数の)に参加させられる。いたたまれなさからつい口にしてしまった酒が災いし,致命的な暴言を吐く羽目に。かなり切ない話。「あなたのことを心配しているのよ」というような,一見思いやりのように見える周囲の気遣いが,ひとつ間違えるとどれだけ人を傷つけうるかということを考えさせられる。
事件の後,”Memoires”の翻訳に勤しんでいる最中に,Hector Mann夫人Frieda Spellingなる人物から一通の手紙を受け取る。Hectorはまだ生きていて,”The Silent World of Hector Mann”の著者であるZimmerにぜひとも会いたがっているという。さて,Zimmerはどうするのか? というあたりまでで,今日はおしまい。

*1:シャトーブリアン,1768-1848,フランスの作家・政治家,マリー・アントワネットやレカミエ夫人らの同時代人