Paul Auster "The Invention of Solitude" 159~172p -7 読了

第二部:"The Book of Memory" 読了
やっとこさ読了したものの,理解度100%に遠く及ばず読後感がスッキリしない。この'79から'81年にかけては,若き日のオースターが父や自分を非常に愛してくれた母方の祖父を相次いで失い,さらに自らも離婚し息子を手放すことになるという悪夢のような時期。そんな渦中だからこそ,作家として「書く」ことや「書物」に対する思いを息子に伝えるということが,当時の彼にとっては至上の課題のようになってしまったのかもしれない。その思いの強烈さは,この原稿を書き上げる直前に見たという夢(自分が死に瀕し,残った原稿を何とか息子に託すよう離婚した妻に取りすがるという)で明かではないか。
ひとりの作家の思考が炸裂しているだけあって,とても難解。だが彼と同じく30代前半に,相次いで親を亡くしたり,自ら死にかけ愕然とした経験があるだけに,部分的に非常に惹かれる点もある。もう一度読みたくなる本(・・・意地っ張り>自分)。