Dashiell Hammett "The Maltese Falcon" 61~100p -3

第7章,Flitcraftの挿話から。オースター関連で,ここの部分をオリジナルで読んでみたいと,この本を手にしたわけだが,実にあっさりとした記述だった。要は,仕事と家庭に恵まれた何不自由のない男がある日忽然とすべてを捨て,家族のあずかり知らぬところで新たな生活を始めるという話。オースターを読んでなければ,そのまま読み流してしまいそうなエピソードである。しかし彼にとっちゃ,ニューヨーク三部作から何度も取り上げてきているテーマだし,何か激しく惹きつけられるものがあるのだろう。オーストリア移民のユダヤ人として生きてきた彼のルーツや,若い頃の極貧パリ生活とも関わりがあるのかもしれない。他国で生きるという経験が,この挿話に対する感受性を高めているように思う。
そうした経験のない者としては,これだけのエピソードから,オースターがあれだけの話を生み出したということの方に,深く感心する。以下,気になる表現。
good citizen-husband-father (about Flitcraft/64p)
He knew then that men died at haphazard like that, and lived only while blind chance spared them. (about Flitcraft/64p)
Horse feathers. (Dundy/79p) :くだらん。
Don't be a sap. (Spade/80p) :欺されちゃいけない。
I do hate being hit without hitting back. (Spade/82p)
・・・so tired of it all, of myself, of lying and thinking up lies, and of not knowing what is a lie and what is the truth. (O'Shaughnessy/89p)
That's be swell. (Spade/92p) :そいつは素晴らしい。
Pardon my speaking bluntly. (Cairo/96p)

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