The Oxford Book of Modern Fairy Tales -7

  • Mary De Morgan "A Toy Princess" 109~119p 読了

感情を表に出すと叱責されるいうヘンテコな国に,隣国から感情豊かな王妃が嫁いでくるが,無理矢理感情を押し殺され,あっという間に衰弱死してしまう。王妃が残した王女は,母親に似て,生まれて2年間泣きっぱなしという感情豊かな子供だった。
だが母親と同様に,王女も成長につれ生気を失っていく。見かねた妖精が,彼女を "If you please","No thank you","Certainly","Just so" の四語しか話さない精巧な人形にすり替え,王女は漁師のもとに預けられる。漁師の許で彼女はのびのびと育つが,成長した王女が漁師の息子と結婚の約束を取り交わそうとしたとき,妖精は彼女を条件付きで再び王室に戻す。もう一度,妖精が国を訪れたとき,王女が幸せでないようなら彼女を再び連れて行くという条件だ。王室の人々は,突然,国でいちばん素晴らしい女性と見なされていた王女が作り物 (sham) だと知らされた上,感情豊かに育った本物の王女を引き渡されて,慌てふためく。結局,この国の人々が選んだのは・・?
某国皇太子妃を皮肉っているのかと思ってしまったが,100年以上も前に書かれたお話。ビクトリア朝以降のおとぎ話では,王子と王女が結婚してハッピーエンドってことには,なかなかならないのだなあ。