[映]「リトル・ミス・サンシャイン」(DVD)を見る

アメリカが舞台なのに、ひとつの家族に自称プルースト研究の第一人者とニーチェおたくがいるという時点で、私的にはノックアウト。加えて、勝ち組にこだわり持論の「9つの段階(だったっけ?)」出版を目論むオトーサンに、老人ホームを追い出されたエッチなおじいちゃんときた。オカーサンはこの中じゃまだフツーに見えるものの、夕食にはずっとテイクアウトのチキンしか出してないというし、やっぱりちょっと変。まぁ家族のアイドル的存在である7歳の娘の存在に癒されるのだけど、その子もミスコン優勝というまた超アメリカ的などギツイ夢を抱いている。
要はこの家族がVWのおんぼろバスで娘のミスコン会場に向かうというだけの話だが、その道中これでもかっと次から次にとんでもない事件が起こる。もとからヨロヨロの家族が一段と悲惨な目に遭うのに、みんなしつこく諦めない。アメリカ人のこういう原始的なタフさって、好きだなー。
登場人物全員、見るからに変で全然イケてないけど、実は温かい。どこか病的な闇を抱えたアメリカ社会の中で、自分自身も闇を抱えながらもなんとか強かに懸命に生きていこうとがんばる。こんなに歪んだ競争社会の中にも温かいものはある、自分たちが本当に大事にすべきものは何なのか、ということに気づかされる。じわり泣けました。