君のためなら千回でも

珍しくも部活が休みだというので息子と映画館に行きました。
中学生の息子とは、アクション系の映画を見ることが多いのですが、今回は特にこれといった目玉作品もなく、ならお母さんの趣味でいい?とアフガニスタンが舞台の作品に。取りようによってはすごい邦題がついてますが、数年前のNYタイムズベストセラー、カーレド・ホッセイニ氏の"Kite Runner"の映画です。
市内には、ロマン系を除くと中心街と郊外の2か所に映画館があります。今までは郊外館専門だったのですが、この映画は街中でしか上映されてないらしく、初めて街中のほうに出向くこととなりました。大街道の入り口近く、某居酒屋チェーンの看板がやたら目立ちますが、古い映写機が置かれているのでかろうじて映画館だとわかりました。エレベーターに乗って3階ロビーに到着すると……GW最終日10時過ぎという絶好の時間なのに、なんとお客さんがまったく見当たりません;; 駐車券を見せると1000円になる破格の割引まであるのにこんな状況だなんて、驚きです。それでも上映5分前には、ぽつぽつとお客さんが入り始め、ホッ……自分たちを含めて4~5人かしら。大丈夫なんだろうか、こんなんで;;
それはともかく映画は◎。雪が積もるカブール市街での凧揚げシーンが最高でした! 俳優さんたちも、イメージぴったり。ストーリーは、いまさらですが……太宰の「人間失格」やドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」的な色彩を絡めた友情物語とでも言えましょうか。日本にはない民族間の差別意識や価値観がベースにあるだけに、「友情」という日本語では安易に片づけられない関係のようにも感じました。まあそんな違和感はあっても、根っこにある「自分の弱さ」と「人の想い」、「贖罪」といった意識の本質に違いはないでしょう。
ハッサンの手紙には泣けてしまいましたし、どうしようもないやるせなさもありましたが、最後は前向きに捉えられているあたりが北米的で、好感が持てました。

The Kite Runner

The Kite Runner

いろいろあってこういう邦題になったのでしょうが、タイトルはオリジナルの「カイト・ランナー」のほうが突き放した印象で好きですね。。