ベルリン国立アジア美術館所蔵日本美術名品展

興奮冷めやらず、気持ちを少し落ち着かせるため、その足で県立美術館のベルリン国立アジア美術館所蔵日本美術名品展(長い)を見に行ってきた。
日本画はあまり好きでなかったのだけど、とにかくボーっと美しいものを眺めたい気持ちになって、珍しく企画展だけでなく常設展までじっくり1時間半ほど堪能させてもらった。
相変わらず金箔背景の屏風とか写実的な動植物、仏画などはピンとこなかったが、軽妙な水墨画や洒脱な版画にグッときた。何気に引かれたように見える筆のラインが生み出すシンプルな美しさというか、最小限しか描かないで生みだす美しさというか……上手く言えないけど、間違いなく西洋画にはない独特な美しさだし、日本人であることが誇らしく思えたくらい。
企画もので特に気に入ったのは、

  • 中村芳中朝顔図」---べたっと描かれた花弁の潔さになぜか惹かれる
  • 絵所左近「烏芻沙摩明王図」---夢で見てうなされそうな怖さ(もちろん自分は隅で怯えるイノシシ頭の人間)
  • 池大雅「山水図屏風」---これも抜き方が絶妙。醸し出す雰囲気はさすが
  • 東州斎写楽「三代目佐野川市松祗園町白人おなよと市川富右衛門の蟹坂藤馬江」---実物は味わい深かった(永谷園のカードとは違う……当り前か)。色合いと絵柄にどうしようもなく惹かれる
  • 喜多川歌麿「絵本虫撰:馬追虫・百足」---歌麿さんでは美人画よりこういう作品のほうが好きだ
  • 横山大観「叭々鳥」---ふてぶてしそうな鳥の目つきがたまらん

常設では伊藤若冲の「鶏図」が良かった。やはり軽妙に描かれた味のある鳥の目つきがいい。畦地梅太郎の原画も素朴でいいなあ(次の企画が楽しみ)。
とにかく。食わず嫌いはいかん。ジャンルが何であれ、美しいものは美しいということが大変よく理解できた展覧会だった。