薬害肝炎のこと

HCV/HBV検査結果の報告日。予約していた時間に保健所へ。
国際エイズデーいうことで、あちこちにポスターが貼られているが、特にこれといったイベントなどはなく、待合室の客は前回と同じく自分だけ。検査時に渡された紙を受付に提出する。面談する医師以外に名前などが明らかにされないシステム、ということらしい。
面談してくれた医師によると、HBVはサクッと白黒はっきりするが、HCVのほうはなかなか複雑で、1次検査のHCV抗体検査で陽性と出ても、2次のHCV-RNA検査で陰性と判断されることもあるらしい。私の場合は1次の時点で陰性と判断された。


薬害肝炎は、大量出血の止血の際などに使用された、肝炎ウィルスの不活性化処理が充分でない輸入血液凝固製剤によって、感染が広がっていったと言われている。問題の血液製剤フィブリノゲンは、1988年6月まで多くの医療機関で頻繁に使われていたが、同年7月以降は基本的に「やむを得ない場合に必要最小限量を使用すること」とされた。しかし、そのあたりのさじ加減は病院や医師の方針によるだろう。
厚労省のサイトによると、1992年以前に輸血を受けたことのある人は特に感染の可能性が高く、'94年までの出産時に大量の出血をした人は検査受診の呼びかけ対象ということだった。
私の場合、1993年10月の個人病院での緊急帝王切開手術と、1995年2月の医大付属病院での子宮外妊娠手術時の際にフィブリノゲンが使われた可能性があった。どちらの医療機関厚労省の公表医療機関リストに掲載されている。
個人病院の院長は、TVを見ながら診察しているような人だったし、「権威を妄信して疑いを抱くこともなく薬剤を使っていた。反省している」といったコメントを提出している。薬害問題がマスコミに取り上げられる以前に厚生省通知などにきっちり目を通しているか、素人目にも非常に怪しい・・・帝王切開手術の際も、緊急だったせいかやたらカリカリしていたし、何をされたかわからない。
子宮外妊娠の手術の際はかなりの出血量があって、輸血処置を行ったとの術後報告を受けた。止血剤が使われた可能性も高い。ただ、産婦人科が看板の有名医大付属病院だっただけに、95年時点で危ないフィブリノゲンが使われた可能性は低いと思っていた。ただ、2月というのがちょっと怖かった。


検査結果が出るまでの3週間、ストレスのためかお腹の調子がずっとおかしかったし、気がつくとボーっとして時間だけが過ぎていくような感じだった。黒でも、肝機能検査値に問題が出てないから当面は経過観察だろうが、家族への感染や就職のことなどを考えるとズーンと気が沈んでしまうのだった。
中学マダム達と話していても、自分がキャリアだったら、うちで淹れたコーヒーを飲むのも嫌がられるのかなあとか・・・C型肝炎はそんなことじゃ感染しないのだけど、そう思われるかもとつい考えてしまったりする。学生時代にやはり肝炎キャリアの友達がいて、家族からタオルなどを分けられて辛いといった話をしてくれたのだけど、そうした話を初めて聞いた時、気の毒だと思うよりも感染しないかとドキッとした気持ちを抱いてしまったことが忘れられない(どれだけそんな自分を嫌悪しても、友だちにすらそんな感情を一瞬抱いてしまうという事実は受け止めるべきだろう)。
確かに白だった。けれど、感染というものが可能性だけですらここまで人を抑圧することは、忘れないようにしたい。