精神

夫は東京出張。精神看護の先生に薦められていた「精神」という映画が最終日だというので、学校から帰宅し子供たちの夕飯を作ってから、ダッシュで映画館に駆け込んできた。
この街ではこういう自主上映やミニシアター系の映画は見られないと思い込んでいたのだが、今まで気にとめてなかった劇場の2階が小さな映画館となっていて、ドキュメンタリー映画祭を開催しているのだとか・・・・・・ああ、灯台もと暗し(´Д`)
スクリーンが一つしかない小さな映画館というにも関わらず超満員。映画館の中で顔見知りに出会って、「ああ○○さん」とかやっている人を何人も見たので、業界関係者が集結していたのかもしれない。


岡山の小さな精神科医院の様子を淡々と映すという静かな映画。ものすごくレトロなつくりだけど、それが何とも言えない穏やかな味わいを醸し出している。
しかし、、本気で誰かを「ケアする」ということの重みは凄まじいものだった。
救命病棟24時」やERといった急性期病棟の極みみたいな世界でバリバリ働くのはカッコいいし、もちろん大変なことだろう。けど、精神科のような、病気とじっくりお付き合いしていかなくてはならない世界で、その人の生活や人生の苦しみまでケアしていくのも大変な仕事だ。だって、先生と付き合い始めて10年、20年とかざらで、40年とかいう人までいるんだもの。しかも、ただ医師が話を聞いて薬を出すだけでなく、その人の生活を支える場や仲間といられる居場所まで作っていかなくては、本当の意味でその人をケアすることにならないという・・・でも、こういう医療も間違いなく必要なんだよね。。
自宅療養している方の自宅を訪問するヘルパーさんたちのプロフェッショナルな仕事ぶりにもまいった。教科書に「病棟から地域へ」とか簡単に書かれてることの現実は、一見フツーのおばちゃんのようにしか見えない凄い方たちによって支えられてる・・・というか、患者さんたちの社会復帰にとっては命綱になるんじゃないか? 医療者のテリトリーである病院と違って、その人のテリトリーに入っていく大変さは想像を完全に超えていた。心身ともにタフでなきゃやってけないよ、これは。。
でもって、最後のテロップで玉砕。医療者やスタッフがこれだけの場を作っていても、闇から救えない人がいる。医療って、ケアってなんなんだろうって、考えさせられた。泣けてしまう。