プレシャス

水曜、レディスデーということで「プレシャス」を見に行ってきた。
舞台は80年代のNY。主人公は12歳のときに実父、16歳で義父にレイプされて妊娠することとなった女の子。子どもは祖母に預けられ、お母さんと二人暮らしをしながら学校に通ってるものの、すべては母親の生活保護受給のため。母親は「勉強なんか必要ない」と娘をこき下ろして家政婦扱いにし、日がな一日ソファに座ってTVを見るか何か食べてるか。主人公自身、貧困と虐待が招いた食生活のせいで100キロは優に超えそうな巨体・・・そう、ダイエットや健康を意識するにはある程度の経済的な余裕と知識が必要で、貧困層はジャンクフードや脂肪過多の食事でエネルギーを満たさざるを得ないのだ。。
以下、ネタばれあるので隠します。
・・・なんかもう、どうしようもなく辛い話なんだけど、妊娠をきっかけに高校を退学となり、新たに通うこととなったフリースクールの教師やクラスメート、カウンセラーらによって、少しずつ煮詰まった状況に光が見えてくるので救われる。
ここまでいかなくとも、日本にも身体虐待や性的虐待はある。ただ、フツーの人には見えてこないだけ(看護学校の授業でも対応を重々教わるくらいだ)。なもんで、状況の悲惨さを目の当たりにさせられて、「ああアメリカって悲惨ね」と思うより、こういう子たちを救い上げる制度がしっかり普及していて、それなりの人材が配置されていることに感心した。アメリカといえどあくまでNYみたいな都会の話で、地方にはここまでの制度や人材は充実してないのかもしれないけれど・・・。
こうした虐待児だけでなく、高齢化の進展によって「もう死にたい」「生きてるのは地獄」とかいう状況に陥っている高齢者などの「見えてこない人たち」に目を向け、誰もが幸せになれる社会を築いていくことによって、自分も幸せになれるってもんだ・・・だって、自分もいつレールから転げ落ちるかもしれないし、確実に年はとるんだもの。
この映画、そういう人たちに目を向けるきっかけになるんじゃないかな?