Paul Auster "Timbuktu" 47~57p -5

Willyの死を目前にして,”Timbuktu"の意味が説き明かされる。
いったん人の魂が体を離れたら,体は土に埋められるが,魂は次なる世界に旅立つ。その次なる世界こそreal placeであり,そこがTimbuktuと呼ばれているという。Timbuktuとは言わばoasis of spritsであり,いったんその境界の中に入った者は,食や睡眠,排泄等で思い悩むことはない。もちろん境界を越える時には,想像を絶する困難が待ち受けている。だが,そこを越えれば文字通り天国に入れるのだ。今やWillyは”Timbuktu”に思い焦がれ,その言葉を口にするだけで身を震わせ,その世界を信じることで唯一心癒されているような状態である。
しかし,WillyがTimbuktuに思いを馳せれば馳せるほど,Mr.Bonseは思い悩む。もともと彼は物心ついた時からWillyと寄り添って生きてきて,主人と別れることはontological terror(存在論的恐怖)なのだ。しかも,犬がTimbuktsuに入れてもらえるのかがわからない。死に向かう主人の思いをよそに,犬は心中深く悩む。
と,突然,降り続いていた雨が止み,太陽の光が差し込み始める。そしてWillyも奇跡的に息を吹き返す。
It was only temporary, of course, and only an illusion, but that didn't mean it wasn't good medicine.
それは一時的な幻想に過ぎないのかもしれないが,犬の傷ついた心は間違いなく癒される。それからWillyの独白が始まるのだが,どうも真意がつかめない(本人も頭がイカレてるので脱線しまくるのは許せと言っているのだが)。O'Dell's(って整髪料か何か?)についての思い出話やら,雑多な駄洒落めいた話が続いてるのだけど。もう少し読み進めれば,なんとかなるだろうか。。トホホ