ルル・オン・ザ・ブリッジ(TV)

ルル・オン・ザ・ブリッジ [DVD]

ルル・オン・ザ・ブリッジ [DVD]

カメが発見され,午前中のスケジュールに余裕ができたので,先日録っておいた「ルル・オン・ザ・ブリッジ」を見た。が,うむむ。見終わったあとにざらっとした違和感が残った。ハーヴェイ・カイテルは,タバコ屋のオヤジ役があまりにハマり過ぎていたのだ。ミラ・ソルヴィーノはすごく素敵だったけど,それ以上ありませんという感じ。それに,あの石はなんだったんだろう。石のおかげで二人がいきなり恋愛関係に陥るというのも,「人生は偶然の積み重なり」ということのひとつの現れなのかもしれないが,そこから派生する人々の切なさや喜びに共感を感じさせるほどの力はなかった*1
オースター関連の映画で「スモーク」が名作というのに異論は出ないだろうだが,「ブルー・イン・ザ・フェイス」と「ルル・オン・ザ・ブリッジ」は意見が分かれるところだろう。映画を見る前に,「ブルー・・」はナンジャコレもので,「ルル・・」は「スモーク」よりは落ちるがオースターらしさはよく出ているという評判を聞きつけていた。だが,個人的な好みからいうと,「ブルー・・」はしんみりしたりゲラゲラ笑ったりしながら楽しく見,ビデオかDVDが欲しくなるほど気に入ったが,「ルル・・」はダメ。
自分の中でオースターに惹かれるのは,偶然が生み出す恋や悲劇,ストーリーの面白さそのものではなく,そうした運命的な出来事に翻弄される人間の感情に自分がシンクロできるという点で,その心地よさがとても好きなのだ。しかし,「ルル・・」では登場人物の誰に対しても,それがうまくできなかった。(´△`;)
オースター映画の脚本集 "Three Films" Three Films: Smoke, Blue in the Face, and Lulu on the Bridge を持っていて,"Smoke" と "Blue in the Face" は既に読んだのだが, 残った "Lulu on the Bridge" を読むかどうかで悩む。とりあえず,"The Making of Lulu・・"(「ルル・・」に関するオースターのインタビュー) を読んで,その気になったら読むというところ。(-_-;)

*1:村上春樹風にいうと「うなぎくんの仕事っぷりが今ひとつ」。うなぎくん自身に罪はありません