高知城と桂浜

「夏休み企画」というほど大げさなものではないのだが、高知に行くこととなった。行きは33号線を通ってのんびりと。昔、M大やI大の友だちらと一緒に自転車で上ったことのある三坂峠も通る。休憩ポイントの雰囲気とか、けっこう昔のまま。途中、道の駅みかわで休憩。大きな水車がいい感じ。面白そうなアイスがたくさんあって迷ったのだが、お米の入ったものを選ぶ。コメの香ばしさと粒々感が美味。このあたりから面河渓が始まる。緑色に澄んだ水が涼しげ。天気に恵まれたせいか、川岸でバーベキューをやってるキャンプ集団を何組か見かけた(羨ましい)。
高知突入。心なしか空気が一段濃い感じで、日差しが痛い。道路が広くてゆったりした雰囲気。松山と同様、街中をちんちん電車が走っているのだが、こちらの方が素朴な印象だ。まずは県庁前の地下駐車場に車を停め、目的地のひとつ高知城へ。駐車場から徒歩5分くらい。城にしてはそれほど大きな山ではないので、比較的楽に行ける。石垣が修復中だが、修復方法が書かれたパネルが展示され、「修復作業」自体が見ものとなっているのに感心する。途中、板垣退助とお千代の銅像を見かけたが、大河ドラマの影響かお千代さん圧勝のようで、写真を撮る観光客でいっぱいになっていた。
入場料は大人400円、子どもは中学生も無料。入り口にボランティアの方がいらしたので、案内をお願いする。通常、城といえば天守閣だけだと思っていたのだが、高知城には客間として使われていたという本丸も残っている。ここで一豊さんが亡くなったんですよとか、ここに武士が潜んでいたんですといった説明があり、当時の殿様の生活ぶりが少しは垣間見えるようで、興味深い。高知城にはそのほかにも、とげとげの忍び返しだとか独特の覗き穴だとか、ここでしか見られないものがいっぱいあって、城マニアと化しつつある娘には非常に楽しかったようである。
城のあとは帯屋町商店街へ。ちょうどお昼時ということもあって、ニオイに引かれふらふらと「ひろめ市場」と書かれた入り口に入っていったのだが、これがすごい。もろアジアンな市場食堂という雰囲気。鰹のたたきからたこ焼き、本格インドカレー、お鮨、居酒屋メニューと何でもあるよ。お昼間っから出来上がってるオッチャン多数で、子どもたちはややビビリ気味だったが、もう何食べようって迷うのが楽しくてしかたがないくらい。結局、巻き寿司やバラ寿司、たこ焼きなど適当に頼んだのだが、ほのかに名物のゆずポン酢の香りがするメニューが多くて、一味違うという感じ。しかも安い。家族四人が食べて2000円いかない。もうここだけのために、高知にまた来たいと思うくらい、最高だった。帯屋町の商店街はよさこいで有名なだけあって、小さいレトロな店でも現役でがんばっていて、全体的にすごいエネルギーを感じる。間口一間くらいの小鳥の専門店なんかもバリバリで、鳥好きの夫はひとり感激していた。今まで見てきた商店街の中でいちばん活気があるかも。。
と、感動したまま、夫の強い希望で「はりまや橋」へ。前に見たことのある私はもう十分という気分だったが、高知が初めての夫にとってはどうしても外せなかったらしい。が、行ってみたらば、以前はなかった観光橋やミニ公園などが整備されていていい感じになっていた。37度とかいうものすごい暑さだっただけに、交差点の角にある和菓子屋さんに飛び込んで小夏のアイスキャンデーを買うと、冷たい麦茶を出してくれ、ちょっと嬉しくなっちゃう。キャンデー齧りながら駐車場まで戻って、今度は桂浜へ。
駐車料金400円という時点から、こりゃもうかなりツーリスティックなところだなと半ば冷め気味に臨んだのだが、予想以上にすごかったぜよ。これでもかというくらい闘犬・刀剣・坂本竜馬だ。動物園・水族館好きの夫と子どもたちがどうしてもというので、桂浜水族館目当てで来たわけだが、私はこの辺の雰囲気やノリについては西原理恵子の本からある程度予想がついていたので、入り口前で待機させてもらった。・・・やはり、子どもたちが魚や亀などで遊ぶスポットが盛りだくさんで、設備投資は少なめ。大人が見て楽しいとはあまり思えないタイプの水族館だったらしい。入ってすぐに貝やナマコに触りまくれるコーナーがある他、ザリガニつりやらウミガメの餌やりなど。子どもたちは確かに大喜びだった・・・。
帰りはバビュンと高速で松山へ。高知・・・街全体に漂う開放的な雰囲気が最高だった。そこで長く暮らしたら酒で確実に身持ちを崩しそうで恐ろしいが、普段瀬戸内に面した松山でせかせかこちょこちょと生きていると、時にたまらなく行ってみたくなる街である。