詩の翻訳

子どもたちから取り残され、英会話スクールで話題に上がったネルーダのソネット17を訳してみた。文学作品の翻訳なんか、何年ぶりじゃ〜〜;;
・・言うまでもないでしょうが、チェックなしの試訳ですのでめちゃくちゃ怪しいです。

ソネット17」 


僕は君を愛していない。
ハマナスやトパーズ、炎が放つ矢カーネーションのようには、愛していない。
僕は君を愛している。
影と魂の狭間にひっそり佇む闇が愛されるように、愛している。


花を咲かさぬ植物が目には見えない花の光を内に抱くように、愛している。
君への愛ゆえに、大地から醸し出された濃厚な香りが僕の体内で密かに息づき続ける。


僕は君を愛している。どうやってか、いつからか、どこからと知ることはなく。
ただひたむきに愛している。迷い、高ぶることはなく。
こうして愛するほか、思いを知らず・・・


そこに、僕や君は存在しない。
ぴったりと、僕の胸に置かれた君の手が僕の手となり、
僕が眠りに落ちると、閉じるのは君の瞳。

"sonnet17"


I do not love you as if you were salt-rose, or topaz,
or the arrow of carnations the fire shoots off.
I love you as certain dark things are to be loved,
in secret, between the shadow and the soul.


I love you as the plant that never blooms
but carries in itself the light of hidden flowers;
thanks to your love a certain solid fragrance,
risen from the earth, lives darkly in my body.


I love you without knowing how, or when, or from where.
I love you straightforwardly, without complexities or pride;
so I love you because I know no other way


than this: where I does not exist, nor you,
so close that your hand on my chest is my hand,
so close that your eyes close as I fall asleep.

      • -

copyright Pablo Neruda, 1959 and Heirs of Pablo Neruda
copyright 1986 by the University of Texas Press

英会話スクールで手渡された原稿は、上記テキサス大学からの引用訳とは別のものです(出典不明なので掲載せず)。ネルーダの原文はスペイン語なので、英訳を二種類参考にしたのですが・・・かなり印象が違います。二重翻訳の難しさをつくづく思い知った次第です。
結局、最初にアップした訳はかなり訂正してしまいました。どうも、詩の翻訳って読み返せば読み返すほど書き換えたくなると言うか・・・ハマりますね。危険だわ。しかしこれだけ入れ込んだおかげか、かの有名な「翻訳うなぎくん」*1がぬるぬるとやって来てくれましたよ。
今となっては非常に恥ずかしい、最初の訳は下記に隠させていただきました//orz

僕は、君を、ハマナスやトパーズ、あるいは炎を放つ矢のようなカーネーションのごとく、愛しているのではない。
僕の君への愛は、なにかほの暗く・・・
影と魂の間にひっそり介在するものを愛するような、そんな愛。


僕は、花を咲かすことなく、その内に花々の光を隠し続ける植物のように、君を愛す。
そして君への愛により、僕の体の中で、大地から醸し出される濃厚な香りがそっと息づき続ける。


僕は君を愛している。どうやってか、いつからか、どこからと知ることもなく。
ただまっすぐに君を愛す。複雑な感情も思い上がりもなく。
僕が君をこのように愛するのは、それ以外の愛し方を知らないから。


けれどここには僕と君、他には誰も存在せず、
近しくて、僕の胸に置かれた君の手が、僕の手となり、
近しくて、僕が眠りに落ちると、閉じるのは君の瞳。

*1:村上春樹さんの唱える「翻訳うなぎ説」。作者と訳者の間に介在する第三者的オルターエゴだったっけ? しかしやはり二重翻訳だけに、来てくれたのはものすごく弱々しい子(泣)